保見団地/移動式公民館

保見団地にて、今年度から一年間現地NPO法人NPOトルシーダと協働プロジェクト”保見団地の移動式公民館”がはじまった。なぜこのプロジェクトが始まったか、そしてプロジェクトを介してチームとして何を考えているのかをざっくばらんに書きとめておきたい。

保見団地は、人口増加に対応するために斜面地を造成して造られたマンモス団地のため、階段やスロープがかなり多い。団地住民の中では若年層に分類されるアラサーの私でも、南北に勾配のある団地の南から北まで歩くのにはある種の決心がいる程である。”保見団地の移動式公民館”は、草の根的な活動から自治会活動といった様々な活動を”団地内に複数ある広場や公園等の公共空間をマンパワーで巡回しながら行う”ことで、階段・スロープの多いエリアに住むことで生活範囲が限定されている方でも情報や資源、活動にアクセスできることを目指す。ついでに、新しい人の流れをつくることで不法投棄に対する監視の目を増やしたり、放棄されかけている公園も管理しようというものである。とりあえず、そんなコンセプトで運営していくのだが、このようなアイデアが生まれた発端となる出来事がいくつかある。

一つは、NPOトルシーダがFoxmartという団地中央に位置するショッピングモール向いで行った食料給付会に、団地住民であるペルー出身のおばあちゃんが直線距離では100mほどだが階段やスロープを駆使しなければならず満身創痍で到着したときである。徒歩で来るのが大変すぎたとのことで、暇だった私は帰り路団地内100mの距離を車で家まで送っていった。造成によってつくられた団地で高齢の方が並の生活を行うことのハードさを知った。そして、車中で彼女から話を聞いたところ、やんちゃ盛りな孫と暮らしており、彼がファストフード店でハードにバイトをしているため世帯当たりの収入が増加してしまい、行政からの様々な補助の対象世帯から外れてしまっていることを教えてくれた。本来なら様々な補助を受けられないと生活できないところ、生活していくための様々な補助≒セーフティネットから諸事情ではみ出してしまっている人は少なくないようだ。造成された団地における特に高齢者の生活圏は、想像以上に近場に限られているとわかった。そこに対してネガティブな回答ではなく、団地の中にたくさんある公園等を遊覧船みたいにぐるぐるめぐることで、色々な人の生活圏にお邪魔しながら活動してみてはどうかと思い始めた。

次はさらに現実的な話である。すこしナイーブな話ではあるが、団地内の公園や広場といった公共空間をイベント等で利用するには自治会の許可がストイックに必要であることが色々なことに関わるうちにわかってきた。比較的自由に色々やれていた時代もあったようだが、管理上の問題で現在は公共空間を利用することは少し複雑な手順を踏まないといけない。結果的にこのハードルが日本語が流暢でない人たちにとって、主体的に大人数で広場や公園を使う足かせになっており、それが被差別意識につながっているのだという。そこで、ぐるぐる様々な管理下の公共空間を使うことで、複雑な利用の手続きを私自身が体験し、公共空間利用のしおりのようなものをつくり、このプロジェクト自体が多くの人が活き活きと団地内の公共空間を使うためのきっかけになればよいと思い始めた。

プロジェクトは、ゴールデンウィークに地域住民やアーティストの方と協働で移動式公民館の制作が無事終了し、前に進み始めている。

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